この記事では、「STEPN」の記録&所得計算補助アプリ「STEPNote」において、意見が割れそうな税務上の取扱いをどのように考え、取り扱っているかを説明させていただこうと思います。
意見が割れそうな税務上の取扱いとしては、以下の5種類の行動の取扱いが挙げられるかと思います。
・MB開封
・レベル上げ・ソケット開放、フュージョン
・再分配
・靴譲渡
・靴譲受
「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」(以下「公式文書」)を参考に、STEPNoteでの取扱い方について順番に説明させていただきます。
所得計算の基本方針
まず、STEPNoteにおける所得計算の基本方針について説明させていただきます。
STEPNoteの目標は、STEPNで得た所得を確定申告でちゃんと申告することです。
しかし、完璧な申告をするためには、全ジェムをIDでしっかり管理するなど大量の手間が必要になります。
そこで、STEPNoteでは、「現実的な範囲内で正確な所得を計算できるように努力する」方針としております。
万が一、計算した所得が申告すべきであった所得よりも少なかった場合でも、「申告漏れ」となり、不足額に対する「過少申告加算税」や「延滞税」といった追徴課税を支払うだけで済むものと思われます。
もし、正確な申告が難しいからと全く申告せず、STEPN内で得た全所得に対して追徴課税を支払わなければいけなくなる場合とは雲泥の差があります。
それでは、個別の所得計算の説明に移ります。
MB開封
「MB(ミステリーボックス)開封」は以下のような流れになります。
コスト支払い→MB開封
ここで問題となるのは、
① MB開封のコストは、常に経費で良いか、排出アイテムの取得価額として算入すべきか
② MBから獲得したアイテムをどのように扱うべきか
といったことか思います。
① MB開封コストの扱い
STEPNoteでは、MB開封コストは経費として計算しています。
その理由としては、
1. コスト支払いとアイテム獲得のタイミングは同時ではないこと
2. MBからは大量のアイテムが排出されることがあること
があります。
MB開封のタイミングは自由です。
極端な例としては、MBの開封コストを支払ったまま、そのまま開封しないということも可能です。
その間、開封コストを経費として計算していないと、MB自体が資産価値を持っていることになってしまいますが、MBは暗号資産に該当せず、矛盾が生じます。
また、高レベルのMBからは大量のジェムが排出されます。
それらのジェムの取得価額をそれぞれ計算し、IDの表示もなく行われる合成やリストアで全て個別に管理するのは、かなりの労力を要します。
以上のような理由から、STEPNoteではMB開封コストは経費として扱い、排出アイテムの取得価額としては算入していません。
なお、開封コストより多くのGSTを獲得した場合のみ、便宜的にMB開封で利益が生じたこととして計算しています。(もし厳密に記録したい方は、獲得GSTは「GSTアーン」で別に記録することも可能かと思います。)
② MBから獲得したアイテムの取扱い
MB開封コストを経費として扱った場合、MBから獲得したジェムやミンスク(以下「アイテム」)の取得価額はどうなるのかという問題が残ります。
公式文書にはこのように書かれています。
上記以外の場合とは、例えば、暗号資産同士の交換、マイニング(採掘)、分裂(分岐)などにより 暗号資産を取得した場合をいい、その場合の取得価額は、取得時点の価額(時価)になります。
暗号資産に関する税務上の取扱いについて 「1-4 暗号資産の取得価額」より
暗号資産の取得価額は、暗号資産を買った時以外は基本的に「取得時点の価額(時価)」とするべきのようです。
しかし、アイテムの時価ははっきりしません。
STEPNマーケットでのフロア価格を時価とすることもできそうですが、「獲得したタイミングで毎回フロア価格を確認しなければならず後からは確認不能」というのはやや現実的ではありません。
さらに、上述したような、合成やリストア時の管理の大変さもあります。
そこで、STEPNoteでは、MBから獲得したアイテムは、取得価額は0円のフリージェム(またはフリーミンスク)として扱うこととし、特に記録不要としています。
毎回フロア価格を時価とした場合と比べると、利益を計上するタイミングが遅くなりますが、最終的な所得は同じになります。
年を跨いでMBから獲得したアイテムを売却等した場合、年間の所得はやや過小評価となってしま う可能性がありますが、「基本方針」に則って上記のように取り扱うこととしています。
レベル上げ・ソケット開放、フュージョン
スニーカーのレベル上げやソケット開放のコストについては、経費とすべきか、そのスニーカーの取得価額に加算すべきか、という問題があります。
公式文書には、参考になる記載は見当たりませんでした…。
しかし、
・上記2つの行動はスニーカーの資産価値を高めるものである
・ネット上ではスニーカーの取得価額に算入すべきとの意見が多い
・スニーカーの取得価額とした方が、税務的に堅実と思われる
という3点の理由から、STEPNoteでは、レベル上げ・ソケット開放のコストはスニーカーの取得価額に加算しています。
「税務的に堅実」というのは、「経費 = こちらの利益」であり、スニーカーの取得価額とした方がこちらの利益が出るのが遅くなるという意味です。
フュージョンについても、レベル上げ・ソケット開放と同様に、スニーカーの資産価値を高めるものと考え、フュージョンで消したスニーカーの取得価額を強化したスニーカーの取得価額に加算してます。
再分配
再分配は、レベル上げ・ソケット開放と似たような行動にも思えますが、STEPNoteでは、再分配のコストは経費としています。
その理由は、再分配を行なったからといって必ずしもスニーカーの資産価値が増加する訳ではないから、です。
再分配を行なったユーザーにとっては、スニーカーは「改良」されているはずですが、他のユーザーからしたら「改悪」である可能性があります。
よて、再分配は、再分配を行うユーザーがより稼ぐための経費と考えています。
靴譲渡
「靴譲渡」とは、保有しているスニーカーや靴箱(以下「靴」)を誰かに「譲る」行動です。
公式文書によると、靴の時価の70%未満の価格で譲渡した場合は「低額譲渡」となり、無償で譲渡した場合は「贈与」となるようです。
ここで問題となるのは、「靴の時価」です。
ジェムなどと同じく、靴の時価も判然としません。
公式文書には、「相続や贈与により取得した暗号資産の評価方法」として以下のような記述があります。
なお、活発な市場が存在しない暗号資産の場合には、客観的な交換価値を示す一定の相場が成立していないため、その暗号資産の内容や性質、取引実態等を勘案し個別に評価します。
暗号資産に関する税務上の取扱いについて 「4-2 相続や贈与により取得した暗号資産の評価方法」
これが、全ての譲渡に適用されるとすると、靴の時価は、個別に「この性能なら今はこのくらいの価格だよね」といった感じで決めることになりそうです。
時価(アプリ内では推定金額)を決めたら、所得は、公式文書に従うと以下のように計算されます。
通常の譲渡
所得 = 代価 – 靴取得価額
低額譲渡
所得 = 時価の70% -靴取得価額
贈与
所得 = 時価 – 靴取得価額
靴譲受
靴譲受とは、靴を「譲ってもらう」ことです。
靴譲受でも靴譲渡と同様に靴の時価を推定することになるものと思われます。
譲り受けた靴の取得価額は、公式文書の内容から、
通常の譲渡:靴の代価(支払い金額)
低額譲渡:靴の時価の70%
贈与:靴の時価
となるものと思われますが、低額譲渡の際の取得価額に関する公式文書の記述(↓)は何度読んでも理解できませんでした。
上記により暗号資産の取得をした個人が、その暗号資産を譲渡した場合における当該暗号資産の取得価額は、その対価の額とその取得の時におけるその暗号資産の価額との差額のうち実質的に贈与したと認められる金額との合計額となります。
暗号資産に関する税務上の取扱いについて
(下線部をどこで区切っても日本語として成立しない気が…。)
また、靴譲受をした際には基本的には所得は発生しないものと思われますが、暗号通貨で支払いをした際には、リペアなどで暗号通貨を使用したときと同様に、所得に「(通貨の時価 – 通貨の取得価額) × 通貨使用量」を算入する必要があるものと思われます。
また、贈与された場合には、その靴の時価を年間の贈与額に加算し、必要に応じて贈与税を払う必要があるようですが、こちらはアプリでは管理していません。
まとめ
ということで、「STEPNにおける意見が割れそうな税務上の取扱い」について、STEPNoteではどのように考えて、どのように取り扱っているかを解説させていただきました。
あくまで、個人の考え方の域を出ませんので、間違いがありましたら、当サイトやアプリ内のお問い合せやTwitterのDMまでご連絡いただけますと幸いです。
以上です。



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